2008年6月 1日 (日)

フェルマーの最終定理/サイモン・シン ~ファンタスティックドキュメント~

タイトルだけなら小難しい。

誰もが一度は聞いたことがある(かもしれない)この言葉。

「いったい何?」

それは数学界に残された最後の超難関。

それは数多くの数学者たちを魅了し虜にし、人生をかけた天才たちの挑戦を何度となく退けてきた最終定理。

手にとるときは少々迷う。「数学?わからない?難しい?」

心配無用。その意味は知らなくても理解できなくても、十分に楽しめるこの作品。

サイモン・シンという稀有な書き手の瑞々しい文章が、一つの難関に挑んでいく天才たちのドラマと、その向こうに横たわる数学の歴史を、史実に基づきながら、数学の厳密性を可能な限り損なわない程度にファンタスティックに書き込んでいく。

私が知っていたのはこのタイトルの言葉とそれを最終的に証明したワイルズという数学者の名前のみ。しかし彼の前に横たわってきた、数多くの先達の偉大な考証の積み重ねの上にワイルズは立っていたのだ。オイラー、クンマー、ジェルマン、谷山、志村・・・

名前すら知らなかった彼らの生、数論という純粋な世界、歴史のつながる果てに完成するドラマ。

ワイルズが証明を完成させる瞬間。シンは類まれな描写力で書ききっていく。それはこどものときの夢をかなえるという当たり前のドラマが、歴史を変えた瞬間だった。

511hw5w0czl

最近のトラックバック

2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ