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2007年2月25日 (日)

孤宿の人/宮部みゆき ~怜悧な時代~

宮部みゆきの時代小説。時代は江戸。ただし舞台は江戸ではない。瀬戸内海を思わせる島々で、少女二人を中心に物語は進む。

いきなり起こる殺人事件。すわミステリーかと意気込む読者の肩をすかし、下手人はすぐに判明する。しかし事件はそもそもないものに。「揉み消し」に納得できない少女、理解できない少女。その背景にあるのは時代の持っていた社会の仕来たりの悲しさか。誰もが納得できないのに、誰もが受け入れざるを得ない時代のルール。その仕来たりを作り上げた江戸から送られてきた一人の罪人の老武士の扱いで、小さな島では悲しい出来事が続いていく。あるものは人災、あるものは天災。

人は死ぬ。やがていつかは必ず。しかしできるものならまっとうしたい。親より授かったこの人生を。しかし理不尽な形で奪われていく命。一人また一人。街が崩れていく中ではじまる罪人と少女の交流。最後の一歩で踏みとどまる命。その生の眩しさと尊さよ。生を授けていく人の心よ。

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孤宿の人 下宮部 みゆき 新人物往来社 2005-06-21 号泣しました…。本を読んで泣くことはよくあるけれど、それは「目の端に涙がにじむ」程度のもので、こんなふうに涙がだーだー流れて目の前の本のページの文字をたどることすらできなくなるくらいに泣くというのは、あまりありません。私はこれを読んで、そのくらい泣きました。 読み進めているうちに、最後がどうなるのかはわかっていたつもりです。事実思っていた通りのラストになりました。でも、わかっていた結末であっても、それでもなおこれだけ心を打つとい... [続きを読む]

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