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2006年11月20日 (月)

夏のロケット/川端裕人 ~大人の力と少年の想い~

登場人物が絶妙。それだけで引っ張られてしまう。天才的なひらめきと頭脳でロケットを設計する彼、少しニヒルにかまえながらも職人的なしつこさと高度な技術で実際にロケットをつくりあげていく彼、世渡りのうまさと人当たりのよさと人脈でプロジェクトののマネジメントをする彼、超売れっ子ミュージシャンでありながら宇宙に対する憧れを失わない彼、そして彼らの仲間から外されかけながらも彼らからは最後には必要とされる語り部の彼。そして彼らの魅力に取り付かれバックアップしていく彼女。

悪役が登場しないのも特徴か。悪役が強調されればよりハリウッド的になるところ。作者はあくまで彼らの物語として完結する。ミステリーでもない。謎はなく、あっても簡単に解決される。高校生であった彼らが、大人になり、大人の力を得た時にふと気づく。

「あれってできるんじゃない?」

きっとできる。だってそう思ってた。金とほんの少しの経験と、夢を共有できる人のつながりと知識があればね。だからできた。彼らにはできた。読後感爽やかなサクセスストーリー。

最後まで読み終えたあと、最初の数ページを読み返してみる。すこしできすぎた伏線。でもこういうの結構悪くない。

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