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2006年11月13日 (月)

隠蔽捜査/今野敏 ~原理原則と人間と~

警察小説。ミステリーというフィールドに、出世、人事という人間臭いファクターを加味し、国・都市・官僚というシステムゆえの妙味を加えた一ジャンル。きわめて日本的な世界。

その世界の中でいかに人間を表現できるか。その世界だからこそいかに人間が浮かびあがってくるか。作者のこころみは半分成功。半分未了。

おそらくは主人公が強すぎること。要領がよすぎること。原理原則にしたがいすぎること。作者は誰もが納得するエンディングのために、スケープゴートを仕立て、主人公は苦悩ののち正義の味方となる。人間臭くない主人公こそ、人間として正しい道を歩む。それはそれで正しい。ただ大団円になる必要はなかったか。

僕たちは大団円からほころびる部分にリアリティを感じないか。より人間臭くないか。誰もが主人公のように原理原則にしたがうことはできる。ただ原理原則を持っていればね。原理原則をもっていないのが大多数のぼくたち。官僚でないから当然といえばそれまでなのだけれども。

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