« 噂/萩原浩 ~最後の一行なくてよし~ | トップページ | マグネット/山田詠美 ~罪がないのに与えられる罰~ »

2006年10月23日 (月)

今日も友だちがやってきた/野田知佑 ~鮮烈な人~

鮮烈なる文章。このひとの文章には季節が、太陽が、草木が、生き物があふれている。瑞々しくあふれている。人が、子供が、老人が、父親も、母親も、日本人がロシア人が、犬が魚が小鳥が、光と空の下で輝いている。

本書はこのひとの書の中で特に秀でているわけではない。長年書き続けているBEPALのエッセイのまとめである。すでに20年以上は続いているこのエッセイにて、彼の書く文章は変わらない。当初からずっと変わらないテーマはおそらく一つ。

「自由にいきること」

簡単ではないこのテーマに対して彼は語り続ける。ゆっくりと、焦らずに、しかし時には声高に。

「人間は何をして生きてもいいんだ。」

自由の美しさ、困難さを知っているからこそ、自らが大切にする川の自由を、自然の自由を奪おうとする「国」に対し、真っ向から強く闘い続ける。決して諦めることなく立ち向かう。その闘いの中に浮かび上がるのは、自らを信じ長いものにはまかれずに、立ち続けてきた人間の尊厳。

そしてその一方で気負いなく遊ぶこどもたちに向けられる限りなくやさしい視線。自由を模索する若者たちに向けられる熱く心強きまなざし。ひとりの男に共存するおおきな想いが文章の底流にながれている。

とはいえ本書のほとんどは川遊びや釣り遊びのなかでの交流録。気軽に手軽に読めてしまう。彼のおかげで自分も何かした(遊んだ)気分になってしまう。読み進むなかで水や自由についてもう少しだけ知りたくなったら、彼の「日本の川を旅する」や「北極海へ」を読了いただきたい。人生の地平線がぐい、と拡がること間違いない。

« 噂/萩原浩 ~最後の一行なくてよし~ | トップページ | マグネット/山田詠美 ~罪がないのに与えられる罰~ »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/84530/3933506

この記事へのトラックバック一覧です: 今日も友だちがやってきた/野田知佑 ~鮮烈な人~:

« 噂/萩原浩 ~最後の一行なくてよし~ | トップページ | マグネット/山田詠美 ~罪がないのに与えられる罰~ »

最近のトラックバック

2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ