« 空中庭園/角田光代 ~関係性の不在~ | トップページ | 噂/萩原浩 ~最後の一行なくてよし~ »

2006年10月19日 (木)

愚行録/貫井 徳郎 ~最悪だけど悪くない~

最悪の読後感。救いがないとはこのことか。

主人公はいない。あえて言えば亡くなった夫婦がそうなのか。二人にまつわる知人・友人から語られる彼らのエピソード。どこにでもありそうでしかし少し違和感の残る二人のエピソード。嫉妬・ねたみ・憧れ。誰もが持つ人としての気持ちがほんの少し他の人より強い二人。でも殺されるほどじゃないよね。それが知人・友人の主な意見。

エピソードの間に挿入される「兄」と「妹」の会話。この二人の方がはるかにイカレテイル。だから興味は移る。名乗らない兄妹は誰なのか。殺した者?殺された者?

しかしひねりのきいた構成。読書時間が短く感じることこの上ない。謎の解かれ方としてよくできている。だからミステリーとしては大合格。欲を言えばもう少し、人を掘り下げてみてほしかった。夫の嫉妬と妻のねたみ、妹の異常と兄の不気味。掘り下げて見えてくるものはおそらくある。そこまで行っても読ませることはできるはず。ただその時ミステリーとしての純度は下がるかもしれない。この作者、意外にそれを嫌うかもしれない。

« 空中庭園/角田光代 ~関係性の不在~ | トップページ | 噂/萩原浩 ~最後の一行なくてよし~ »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/84530/3886953

この記事へのトラックバック一覧です: 愚行録/貫井 徳郎 ~最悪だけど悪くない~:

» 貫井徳郎【愚行録】 [ぱんどら日記]
え? 貫井徳郎って直木賞はまだ取ってないの? どうしてそんなこときくのかって? そりゃあ、ききたくもなりますよ。この本、面白いもの。 直木賞作家・東野圭吾の【白夜行】を思わせる雰囲気なの。事件のキモの部分をす... [続きを読む]

» 妄想キャスティング――貫井徳郎【愚行録】 [ぱんどら日記]
こういう胸の痛む作品が、現実に映画化・ドラマ化されるかどうかはわからないけれど、まぁ私が勝手に妄想するだけだから。 スポンサーがついてくれるか、とか、視聴率がとれるか、興行成績がどうか、なんて考えなくてい... [続きを読む]

» 愚行録 [貫井徳郎] [+ ChiekoaLibrary +]
愚行録貫井 徳郎 東京創元社 2006-03-22 東京のある街で起こった一家四人虐殺事件。さまざまな証言を通して浮かび上がる被害者家族の、そして人間たちの姿は…。 直木賞候補にもなった作品です。なるほど。なかなか…、まぁまぁ…、少なくとも一気読みはしました。 こういう「全てがインタビューに答える人の「答え」で構成される物語」という手法は、結構いろいろなところでみるようになってきたと思うし、そこに目新しさはなかったのですが、この作品ではそこにもう一つプラスアルファというか、そういう要... [続きを読む]

« 空中庭園/角田光代 ~関係性の不在~ | トップページ | 噂/萩原浩 ~最後の一行なくてよし~ »

最近のトラックバック

2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ